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それから二十分弱、俺たちは己の食欲に身を委ね、好き放題食品を貪った。
確かに後先考えずに好きなものを食べるというのは、気持ちの良いことだ。
とはいえ、運動部の俺たちでも食べきれないことは分かりきっていた。
「……ね、ねえ。私、もうそろそろ限界なんだけど」
最初にそれを口に出したのは香花だ。
「そうだな、俺もきつくなってきたか」
庵が苦しそうに言うと、俺も急に腹が苦しくなってきた。
こうして俺、庵、香花の手が完全に止まったのだが、どういうわけか、菫は依然食べ続けている。
それも、表情を見る限りでは、さほど苦しそうでもない。俺たちは思わず目を丸くして彼女を見つめた。
「お、おい菫。お前、苦しくないのか?」
俺が驚いて尋ねると、菫は口にあるものを飲み込み、ジュースを飲んでからうなずいた。
「うん、そうだけど、なに? みんなもうお腹いっぱいなの? 本当に!?」
菫は驚きを隠せないという表情でそう言うと、目の前にあったピザを手に取って美味しそうにほおばった。
俺たちは今日、菫の胃が底なしであることを知ったのである。
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