第一章~菫、転生~

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 その時、まるで俺たちを救うかのような話声が聞こえてきた。  どうやら遊園地の正門付近からのようで、大勢の声が聞こえる。  話の内容からして、大家族で遊びに来ているようだ。 「しまった、どうする?」  まず聞こえてきたのは、お父様らしい男性の慌てふためくような声。 「ちょっとあなた! お弁当を車に積み忘れたってどういうことよ」 「ねえ、お父さん、お弁当ないの?」 「う、すまない」 「ねえ~来たばっかりなのに」  俺たちは全身を耳にしてその会話を聞いており、途中まで聞いたところで誰言うことなく立ち上がっていた。  俺たちの両手には、大量の食料がある。 「あ、あの、すみません!」 「はい? あなたたちは……」 香花が切り出すと、一家のお母様らしき女性が少し驚いたように首を傾げた。 「皆さんの、さっきの会話を聞いてしまって……あの、お節介が過ぎるとは思いますけど、よろしかったらこれ、貰ってくれませんか?」 「はい?」
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