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俺たちは一切の事情を話し、見事お荷物を手放すことができたのである。
「いやあ~本当に助かったよ! ありがとう!」
俺たちは、弁当を積み忘れたお父さんに厚い感謝をされた。
「い、いえいえ! 俺たちも困っていたので」
「ありがとう! お姉ちゃんたち!」
小学校高学年くらいの女の子が、はじけんばかりの笑顔で俺たちにお礼の言葉をくれた時には、さすがに俺たち四人は心臓を抜かれかけた。
菫で慣れていたつもりだが、やはり小さい子の笑顔はすばらしい。
「本当にありがとう! 君たちがいなければ、私は子どもたちに袋叩きにされていたよ」
「こちらこそ、助かりました」
俺たちは、船岸さん一家と分かれて遊園地のアトラクションへ向かった。
「ねえねえ! まずはなに乗る?」
「おい香花、いきなり激しいのやめてくれよ。俺の腹はまだ少し苦しいのだからな」
「庵のいう通りだ」
俺が庵に同意すると、女子二人はなぜか口をとがらせた。
うん、これは危うく昼飯リバースコースターに乗せられるところを、間一髪で防げたようである。
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