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「じゃああれに乗ったら休憩しましょ」
香花と菫が指さした先には、大きなコーヒーカップがいくつも並んでいる。
「本当だな」
女子二人は、一点の曇りのない瞳でうなずいた。
俺達は女子の瞳の輝きを信じ、俺は菫と、庵は香花と一緒にコーヒーカップに乗り込んだ。注意のアナウンスが流れ、やがてカップが動き始める。
「葵、楽しいねっ!」
「あ、ああそうだな!」
可愛らしいワンピースでその笑顔はやめてほしいと思う。愛おしくて、彼女を抱きしめてしまいそうだ。俺は強い思いを抑え、代わりに微笑み返した。
何時の時代も、災難は、突然やってくる。俺達が楽しんでいると、隣にいる庵たちの声が聞こえてきた。
「ねえ~庵~っ、もっと速く回してよ~」
「何を言っている! と言うかやめろ、十分速いだろ!」
「そんなこと言わずに、ほら! あっ」
香花が手を滑らせ、二人が乗っているカップが高速回転を始めた。
「きゃあああ~っ! 庵、いおり~止めてええ~っ!」
「ば、ばかあ~! だからよせと言っただろうが~!」
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