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地獄のコーヒーカップを降りた俺たちは、適当なベンチに座っていた。時刻はまもなく、昼の三時になろうというところだ。
「二人とも、何か言うことはないのか」
俺と庵が疲れ切った顔で、異口同音に言うと、女子二人がびくっとした。どうやら、少しは反省しているようで、いつも必死に反撃してくる香花も、黙り込んで下を向いている。
「……ごめんなさい」
少し間をおいて、今度は女子二人が異口同音に言った。
「まったく、本当に手がかかるな、お前たちは」
庵は苦笑してそう言うと、不意に立ち上がった。空の太陽は少しずつ西へ向かって進んでいる。そろそろ葉室さんが迎えに来てくれる時間であった。
「庵、そろそろ時間だよな」
太陽を見て思い出した俺が言うと、女子二人もはっとしたように立ち上がった。
「もう、やり残していることはないな?」
「は、はいっ! 私あります」
そういったのは香花である。
「んっ? なんだ、香花?」
庵が不思議そうに香花に目をやると、香花はふいに何かを指さした。
「あれ、ソフトクリーム食べたい!」
「しゃあねえな!」
俺たちは、それぞれの望むソフトクリームを手に入れ、遊園地を後にした。
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