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「きゃ~~っ、明日真さまあ~」
「もう行ってしまわれるのですか?」
葉室さんの周りは、今や女性で埋め尽くされている。俺たち四人は、もはや憐みの眼で彼を見守っていた。
「麗しく、聡明なご婦人方、何をそれほどに興奮なさっておられるのか、私には分かりかねますが、何やら私との別れを惜しまれているご様子。皆さん、この世界がいかに広くとも、大空の元同じ世界です。いずれまた巡り合えるでしょう」
葉室さんの一言に、女性たちはため息を漏らし、何度も彼に手を振り続けていた。
「ねえ、菫ちゃん。葉室さんのあれ、わざと台詞を選んでいるわけじゃないのよね」
「うん、多分、素だと思う」
「もう、何といえばいいか分からないな」
庵の言葉に、俺達は苦笑を漏らした。
ようやく遊園地を後にした俺達は、馬車に揺られて大型のスーパーマーケットを目指していた。相変わらず、四方八方から異様な目線が飛んでくる。
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