第二章~香花、絶叫~

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 それから俺たちは再び馬車にゆられ、菫の家を目指していた。 「皆さま、もうまもなく高神住宅地に到着でございます」  葉室さんがそう言ったとき、街灯がいっせいにつき始めた。  春になりつつあるとはいえ、まだ夕方は寒い。 「うう、あおい~寒いよお」 「おい、菫。いきなり抱きつくなよ」  俺と菫のやり取りをみた香花は、早速それに倣った。  この女子二人は、時と場所を考えずこういう事ができるのだ。  今に始まったことではないが、やはり恥ずかしいというのが俺の心境だった。 「皆さま、良いですな。愛というものはやはり素晴らしい」 「葉室さん、ほんと恥ずかしいからそれを声に出さないでください」 「でも嬉しいんでしょ、葵」 「あ、あたりまえだろ」    俺たち一同は、それぞれ愛する人と思わず笑顔を交わした。  ああ、この愛おしいというどうしようもない気持ちを、一体どうすればいいのだろうか。    俺たちの抑えきれぬ思いを乗せて、馬車は住宅地を奥へと進むのだった。
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