第二章~香花、絶叫~

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「皆さま、大変長らくお待たせいたしました。到着でございます。どうぞお出ましを」 「ありがとう、葉室さん!」  香花がまず葉室さんにお礼を言って馬車を降り、俺達も後に続いた。そこは、俺達にとって懐かしい場所、槐の屋敷である。 「おお、これは……」  最初に感嘆の声を上げたのは庵だった。俺と香花も、思わず目を輝かせずにはいられない。明かりの灯った槐家は初めて見たのだが、これがまた何とも言えない存在だったのだ。  屋敷には、美しいともいえる優しい明かりが灯り、広大な庭や、馬小屋を穏やかに照らす庭園灯も、まるで現代ではないようだ。  それに加えて、屋敷の後ろにそびえたつ槐山(えんじゅやま)が満月の美しい月光に優しく照らされ、夜空の満月は庭にある池にその姿を映しているのだ。  その様子は、まるで平安時代の貴族の屋敷が、時を越えて現代に現れたと言っても過言ではない雰囲気だった。 「す、すごいね菫ちゃん」 「そう、ありがと、香花! さあ、行きましょう。もうきっと来ているわ」 「そうね」  俺達は菫に案内され、槐の屋敷へと入っていった。
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