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「では皆様、早速に準備をさせていただきます」
葉室さんがそう言うと、彼に仕えている七人の巫女さんたちがせっせと動き始めた。どうやら彼女たちは槐家において巫女であり、またメイドのような存在でもあるようだ。
それはそうとして、彼女たちに任せておけば良いと言えばそうなのだが、俺たちは手伝わずにいられない性分である。特に香花がそうだと言える。
「ねえ葉室さん、私達も泊めてもらうんだからお手伝いします!」
それを聞いた葉室さんは、少し驚いたように香花を見やった。
「香花様、ですが皆様は私どもから見れば、おもてなしすべき賓客でございます。お手伝いいただくわけには」
「葉室さん、何言ってるの。私達は確かにお客かもしれないけど、そんな堅苦しいのはお泊り会とは言えないわ。ねえ、みんなでやりましょ」
香花の台詞に、泊まりに来た一同がうなずいた。特にうちの兄貴は、まだ槐家に対する特別感というものが抜けていないらしく、葉室さんにも終始ぺこぺこ状態だ。
そして葉室さんも、ここまで意見が一致すればさすがに折れてくれた。
「皆さま……承知いたしました。それでは今夜は無礼講と言う事に致しましょう。静香様、よろしいでしょうか?」
静香さんは笑顔でうなずいた。
「ああ、もちろんだとも。私はもとよりそのつもりだよ」
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