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そして六時半を回った頃全ての準備が整った。十七人で食べても十分だと言える量の食材が中庭へ運ばれ、いよいよバーベキューが始まった。
「さあ皆様、まずは私がどんどん焼きますので遠慮なさらぬよう」
「僕もお手伝いします、葉室さん」
「おお、翠さん! いやかたじけない。せっかくですので、ここはひとつお手伝い願うと致しましょう」
葉室さんと兄貴が何やらこの短時間ですっかり意気投合したようだ。先程まで初対面だったと言うのに。
まあ今夜はお祭りのような雰囲気だ。楽しんでいるならそれでいいじゃないか。俺は自分にうなずくと、皿と箸を手に戦場へ向かった。
こちらもまあ予想通りと言えばそうだった。俺が皆より一足遅れてバーベキューコンロに着くと、すでにその場にはカオスな雰囲気が漂い始めている。
まずは庵と香花だ。俺が来たことも気づかない様子で何やら言い合っている。
「ちょっと庵! そのいかにも美味しそ~~なお肉は私が目を付けていたのよ? 何取ろうとしているの」
「何を言っている。お前の都合うんぬんは知らん。狙っていようが何だろうが、取った者勝ちだろう」
「庵ってばひど~い! きっと……いいえ、絶対そのお肉は私に食べられたがっているわ。これは運命なのよ!? ほら、他にもお肉はいっぱいあるじゃない、庵も運命のお肉探しなさいよ!」
「はあ? お前何言ってるんだ。じゃあお前が新しい運命の肉を探せばいいだろう」
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