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それに兄貴は、何やら勘違いをしているようだ。
今さらっと彼女たちとか、菫と香澄を分けることなくかわいいと兄貴は言った。まさか香澄のことを女だと思っているのだろうか。
俺は訂正してやろうと思ったが、面白そうなので黙っておくことにした。あとあと一騒動起こる原因になるとも知らず……。
「まあそうだな。何にせよ、菫のことはこれからもずっと大切にしていくさ」
「そうだ葵、よく言った!」
俺の言葉に納得した様子でうなずく兄貴の後ろでは、葉室さんと菫が満面の笑みでこちらを見ている。
どうやら少し声を張り上げて言ってしまった先程の台詞を、二人に聞かれてしまったらしい。俺としたことがうっかりしていた。
「葵さま。今のお言葉、私しかと覚えましたぞ」
「葵、ありがとう! うれしいこといってくれるね」
俺は赤くなって思わず目線を二人からそらした。
「葉室さんまでやめてくださいよ、まったく」
「何をおっしゃいますか葵さま。先のお言葉があればこそ、私も安心して菫様をお任せできるというものです」
「は、はあ……」
俺は困って拍子ぬけた返答をしてしまった。
葉室さんもお酒が入っているようで、完全に菫のお父さんではないか。実際そんな感じなのかもしれないが。
俺が困っていると、葉室さんにため息交じりに声をかける者があった。
「明日真、何やっているのよ。葵さんが困ってるじゃない。ほらさっさと片づけ始めるわよ」
そう言った女性は、白基調に赤でをもようを描いた紅白の巫女服に綺麗な赤毛の巫女。あかりさんだ。
バーベキュー中の会話によれば、彼女は今年で十九歳になり、七人の巫女さんのリーダーだという。
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