第二章~香花、絶叫~

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 あかりさんが葉室さんにを入れると、葉室さんは少しばかりいつもの調子を取り戻したようだった。 「ああ、すまないなあかり。葵さまも申し訳ございません。私としたことが、みっともない所をお見せしてしまいました」 「あ、いえいえ」  俺は思わずそう答えた。どうやら、葉室さんにも制御役がいるようだ。  二人のようすをみるに、葉室さんはどうしてもあかりさんに頭が上がらない関係といった感じだろう。  葉室さんは、酔い覚ましに水を一杯飲むと、改めて皆の前に出てバーベキューの終了を告げた。 「皆さま、いよいよ食材もなくなって参りました。各々存分にお楽しみ頂き、新たな交流もありながら互いの親睦もより深まったことでしょう。今宵はまだまだこれからではありますが、バーベキューはこの辺りでお開きと致しましょう」  俺たちは月明りの下、笑顔でうなずき合った。皆の顔は実に満足したような顔だ。  有意義で楽しい時間は穏やかに終わりを告げ、皆で協力してのあと片づけが始まる。  片づけは、準備と同じく男女に分かれて作業を分担した。女性陣は大量の食器類を手分けして洗い、俺たちはバーベキューコンロの炭を片づける。 「皆さま、あと片づけのほうも手慣れていらっしゃいますね」 「いえいえ、葉室さんの足元にも及びませんよ」  庵が驚いたように苦笑した。俺も兄貴も庵と同じような驚きの顔だ。  なにせ四つあるバーベキューコンロのうち、俺たち三人と香澄で一つを片づけている間に、残りを葉室さん一人が片づけてしまったのだから。
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