第一章~菫、転生~

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 俺たちは、まだつぼみだが、確実に迫る開花の時を待つ桜たちの下を小走りに下っていた。  べつに急ぐことはないが、百メートルの断崖をかなりの斜度で下るので、この道を通るとどうしても小走りになる。  歩行者専用のこの道は、四人だと横一直線になって進むことはできない。俺と庵が前を行き、俺たちの後ろを女子二人がてけてけと付いてくる。 「今夜は楽しみね、やっと私の大望が叶うんだもん!」  とつぜん笑顔でそう言った香花に、菫は苦笑して答えた。 「香花ってば大げさね。そんなに私の家に泊まりたいの?」 「もっちろんよ、菫ちゃん!」  女子二人のいう通り、俺たちは今夜、槐家でお泊り会をする。  そのため俺たちは、街へ遊びに行くついでに、今夜の食糧調達に行くのだった。  確かに菫の屋敷に行けるので、俺も少しは心が高ぶっている。 「まあ、夜の楽しみはその時まで置いておくとしようじゃないか。今日は一日楽しむぞ!」  庵のはりきった声に、俺たちは歓喜の声をあげた。桜並木通りは終わりを告げ、俺たちの眼前には雪華海街西口駅がある。  今日の第一目的地は、街の中心部にある遊園地だった。俺たちの一日が始まる。
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