5人が本棚に入れています
本棚に追加
平成最後の秋、私は仕事を辞めた。
理由はただ単に、今まで金銭的に寄生し続けてきた両親と妹への仕返し、そして「なにかと関わること」が面倒になっただけのことだった。同居の両親はそれはもう鬼のように発狂したが…私にはもう、単なる他人事でしかない。
既に転居届は提出済みだし、区役所には所在の情報開示を求められても絶対にしないよう、固く念を押して手続きをした。
……要は「縁切り」である。
なぜなら私の「母親」は、名ばかりの本当にしょうも無い金食い虫だったから。
夫に養ってもらっている立場の専業主婦なのに「体が弱い」のを盾にしてろくに家事をせず、金遣いが荒いので結局は資金繰りに困った。しかも常に「金がない」と嘆く割に就労意志はなく、「背に腹は代えられないならば働けばいいのでは?」と助言をくれた友人を、さも極悪非道の悪者のように罵倒して同情を買うような卑屈なやつでもある。ヤツは私に対して異様に敵愾心を剥き出しにし、10年もの間金銭を毟り取り続けた。
最初のコメントを投稿しよう!