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伯父が最初に選んだ教材はなんと「ギリシャ神話」の英訳版だった!
僕はてっきり英語の文法を教えてもらうのかと思っていた。もちろん簡単な文法はその都度解説を食らうのだが、ギリシャ神話を英訳していく、という授業は僕にとってきわめてハードルの高いものになった。
チンプンカンプンの単語の羅列に僕は嫌気がさした。宿題はないが、そのかわり次週までに頁のわからない単語を辞書で調べておくように、ということだった。大変な予習だ。
中学生の僕には、まったくもってギリシャ神話は難解すぎるお題だった。
「この世はカオスからできていると・・・」僕は恐る恐る訳す。
「カオスってなんだい?」
「辞書で調べたんだけど混沌って書いてある」
「うむ。そこで言う混沌とは少し意味が違ってな・・・」
「そもそも混沌ってなんですか?」僕は訊く。
「うーん、清水家はこんな語彙も使ってこなかったのか・・・」
僕はこの清水家批判が嫌だった。なんでも小馬鹿にしたような言い方が。
肝心のカオスの意味は結局今でも思い出せないがカオル伯父は丁寧にパソコンに意味を打ってプリントアウトしてくれる。
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