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はやり病。
それはかつて、魔女シェンナの時代に国に蔓延した病とおなじものでした。
たくさんの人が死んで、人々のこころは荒れました。
国を安定させるため、シェンナは人々のこころをあつめる「悪者」をつくりだしました。
そこに力を貸したのが、魔女の友達です。
わるい魔女と対立する存在として、誰かいたほうが安心できるとおもった王さまとシェンナは、彼女も仲間に引きいれました。
けれどそれは、シェンナを森に封じこめるための、罠だったのです。
魔女は国にたったひとりです。ひとりしかいられないのです。
シェンナの友達は、自分がエルフェンバインの魔女になるために、シェンナのことが邪魔でした。
こうしてシェンナをいばらの森に閉じこめた彼女は、よい魔女として人々の前に出て話をしました。千年の呪いの話を聞かせました。
王さまとシェンナがこっそりと会っていることを知り、道をふさぎ、そうして王さまに告げたのです。
ああ、王さま、エクトールさま。
シェンナはすべてをせおい、森のなかで祈りをささげることを選びました。わたしに魔女の座をゆずり、すべてを託したのです。
決して外から入ることができない森に、王さまは立ち入ることができません。
抜け道のなくなった今、彼はシェンナに会うことができなくなりました。
シェンナは王さまの友達でした。
だいじなだいじな友達でした。
哀しむ王さまに、よい魔女はささやきます。
ああ、王さま、エクトールさま。
あなたが望むのならば、あなたをシェンナの元へと送ってさしあげましょう。
そうしてよい魔女は、王さまを殺してしまいます。
シェンナは森のささやきでそのことを知り、なげき哀しみました。
エクトール。
あなたが命を賭して守ろうとしたこの国を、きっとわたしが守りましょう。
だからどうか安らかに。
グウェンタール・グウェントール
あなたが幸せであらんことを――
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