5 千年の呪い

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「そのとおり、わたしはいばらの森に住む、千年を生きる魔女だ!」  システィーナはいいました。  町の人々は大きな声をあげて逃げだします。  女たちは扉をふさいで家にとじこもり、勇気のある男たちが斧やくわを持って、魔女にちかづきます。  よくしなる鞭をもった牛飼いの男が自慢の鞭をふるい、システィーナの身体を打ちました。  焼けるような痛みにシスティーナの顔がゆがんだ瞬間、縄を持った男がうしろから近づいて、システィーナを捕えました。 「魔女め。おまえのせいで、うちの畑は作物が育たなくなったんだ」  それを合図に、次々に声がかかります。 「あのむすめが売りにきた木の実を食べたせいで、子どもが病気になったんだ」 「いばらの森で採れた物は、どれもひどいにおいがして、食べられたものではなかったよ」 「あの子が来ると、いつもずっと空が晴れるんだ。日照りを起こしてるにちがいない」 「おとうさんが怪我をした、おまえのせいだ」  魔女め。魔女め。  人々がいっせいにののしります。  声とともに、砂や土がかけられます。  誰かが投げた石が腕に当たり、次第に手当たりしだいに石が飛んでくるようになりました。  先のとがった石が顔に当たり、頬から血がながれます。  システィーナは顔をあげ、ゆっくりと周囲を見渡しました。  いつしかシスティーナのまわりには誰もいなくなっていました。  みんな遠まきにながめ、石や武器をかまえてこちらを見ています。 「魔女が出てきたということは、呪いのせいで、この国は滅びてしまうのか!」 「呪いの王子が、国を滅ぼすにちがいない」 「もうこの国は終わってしまう」 「魔女と王子のせいで、なにもかもが終わりだ」  それを聞いたシスティーナは、大きな声でいいました。 「この呪いを解くことができるのは、王子だけ。呪いの王子こそが、呪いを解く唯一の鍵なのだ。魔女を殺しても呪いは解けぬ。魔女による千年の呪いは、千年後に生まれた王子の手によってのみ解くことができると知れ」  人々はそれを聞いて叫びました。 「王子をお連れしよう」 「王子が魔女を殺せば、この国は助かるのだ」 「呪いの王子は、呪いをかけるのではない。呪いを解く王子だったんだ!」
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