8 おしまい

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 ひろい世界のどこかの端に、緑ゆたかな小さな国がありました。  小さな国は荒れ果てて、いまはもう見る影もありませんが、北のほうにある森だけは、国が滅びてもそのままの姿で生きていました。いばらで覆われた、深い森です。  森では、美しい金色の髪をしたむすめと、銀色の髪の凛々しい若者がふたりきりで暮らしています。  たくさんの自然に囲まれて、森の声をききながら暮らしています。  時折、旅をする人が通りかかりますと、ふしぎなことにいばらの蔓がしゅるりと割れて、道ができるのです。  旅人は中へと入り、むすめと若者に旅の話をきかせたりします。  商いをする男もまた、二人を相手に物を買ったり売ったりしました。  むすめのつくった薬はたいそうよく効きましたので、男の商売もうまくいきました。  たくさんの物を買い付けましたが、美しいむすめの髪の毛だけは、決して売ってはくれません。若者は、金色の柔らかそうな髪をとても大切そうに撫でては、愛おしげな目でむすめを見つめるのです。  むすめと若者はいつも一緒でした。  どんな時も、どこへ行くにも、ずっと寄り添っていました。  森の入口で、今日も旅立つ人を見送ります。  グウェンタール・グウェントール。  どうぞ、良き旅を。  あなたが幸せでありますように――  おしまい
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