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夢の舞台裏
夢は亡くなったひとが作っているのだと、病院の庭で曽祖母が語った。
「夢を作るのは身近な霊のお勤め。私達が眠っている間に、心にある思いや願いを映してくださるの」
曽祖母は、黄金色のイチョウが散るのを眺めていた。
高校生の私は、地面から漂う銀杏の匂いが嫌だった。
「私は夢の舞台裏に迷い込んだことがあって……撮影スタジオみたいな所だった。うろうろしていたら『まだここらは未完成だ。出ていけ』って。すごい剣幕で怒られたのよ」
映画好きだったあのひとに、と曽祖母は微笑んだ。
その曽祖母が亡くなり、彼女は先立った夫と同じ墓に入った。
私は最近やけにイチョウ並木を夢に見る。
曾祖母の話を思い出しては、夢の舞台裏を探している。
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