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机に向かって、時々スマホで通販の父の日特集を見ながら勉強をしていると、11時頃鍵の開く音がした。
少ししてドアがノックされて
「奈々。ただいま」
と疲れた声がする。
「おかえり。テーブルに麻子さんが作ってくれた麻婆茄子あるよ」
「ああ」
足音がリビングに向かう。学校の書類とかの用がある時以外は、ドア越しに話すだけ。ずっと前は出て行って話していたけど、あたしが居ると、おじさんも気を遣って話そうとしてくれるから、疲れてるなら一人の方が楽かなと思うようになった。
おじさんは一人で遅い夕食を食べてお風呂に入って、寝る時はまた『奈々。おやすみ』とドアをノックする。休日は顔を合わせるけど、平日はこんな感じ。
せめて大学はあまり迷惑かけない国公立に行きたいから、一生懸命勉強する。自分で働けないなら、あたしにできることはそれくらいだから。
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