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「そしたら、中村が言った。本当にそう思ってるならいいけど、逃げてるだけじゃないかって。教員なんだから、奈々の年頃の子供が何考えてるか、何が辛いか分かるだろうって」  麻子さん……山下にも会ったし、気にしてくれてたのかな。 「おじさん。でもあたしは」 「最後まで聞いてくれ。……で、俺は言った。他人の子なら何の問題起こされても冷静に対応できるけど、奈々はそうじゃない。だから悩む。そう答えたら、中村が笑った。奈々だって、姪だけど他人の子じゃないのかって」  ……あ。 「他人の子なら冷静に見られる。でも、奈々のことはそう思えない。何か気になることがあっても、どうしていいか分からない。それは、本当の親子ってことじゃないのかと中村は言った」  近くの席から、小さな女の子がお父さんとはしゃぐ声が聞こえた。 「俺は言われるまで気づかなかったけど、その通りだと思った。だから、……俺を本当の親と思えとは言わない。お父さんと呼んで欲しいとも思わない。ただ、遠慮したり、気を遣ったりはしないで欲しい。俺がそうしたいから、家族になったんだ」  言い切ると、ふーっとおじさんは息を吐いた。 「ごめんな。急に。それだけ言いたかった。……やっと、落ち着いて飯が食える」
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