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「でも、……私立入れてもらって、今年は修学旅行もあってお金もかかるし、今は校則でバイトはできないし、あたしが居なかったらもっと好きにお金遣えるじゃん。結婚してたら自分の家族に遣えるし」 「自分の家族じゃない」  麻子さんはビールを片手に当たり前のように言う。 「あたしなんかホントに一人だけど、奈々ちゃんが時々こうして来てくれるだけで寂しくないし、各務君も同じだと思う。それに各務君とはちゃんと血が繋がってるんだし」  あたしが黙ると、麻子さんは笑って言った。 「そういうのがあるから、父の日くらい感謝を伝えたいっていう奈々ちゃんの気持ちは各務君もちゃんと分かるだろうし、嬉しいと思うよ。何でも。言葉だけでも」
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