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荒療治。
カルチベイト内の共通言語で、言ってしまえば道具を使った性的行為のことだ。しかし、これは単純な性的嗜好によるものではなく、発情期のオメガにとっては、余計な性欲を発散させるために、時には必要となることでもあるのだ。
「仰向けとうつ伏せ、どっちがいいー?」
「…うつ伏せで」
「じゃあ、お尻の高さあげるねー」
フリさんは掛け布団を何重にも畳んだものを、うつ伏せた俺の腹の下に詰め込む。俺はフリさんから渡されたアイマスクをつける。余計な情報を遮断して集中するためだ。
承知の上ではあるのだが、複雑な心境になる。この状態で興奮しそうになっている自分がいるのも確かだった。とはいえ俺は決してMではない。
「私も、カルチベイトで手伝ったことはあるけど、実際にやる側になるのは初めてだなー。ごめんねー、実験みたいになって」
「大丈夫です…」
そっちのほうが、俺の表情を見られずに済む。俺はそのまま枕に顔を埋めた。
「それだと息苦しくないー?」
「何とか、隙間はできてるので」
そしてそのままズボンとパンツを脱がされた。
「ふっ…」
下半身が晒され、心拍数が急上昇する。
「じゃ、始めるねー」
俺の尻に、冷たい感触が流れ落ちる。潤滑液が垂らされたようだ。男オメガは一応、後ろの穴からも分泌されるから問題はないのだが、念のためだろう。
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