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自宅にて(3日目)
また、アイツの夢を見た。
大学時代に付き合い、俺の処女を捧げた相手。アイツは突然俺に別れを告げ、俺の前から姿を消した。女々しいほどに未練の残った俺は、それから半年はアイツの居場所を探しては追いかけた。その時のことを今思えば、相当気持ち悪い奴だったと思う。
カルチベイトに入り、そこで様々な人と関わったことで、アイツのことはもう気にならなくなった。そう思っていたのだが。なんでだろう。
「今日は、荒療治しようか」
「…え?」
遅めの朝飯のコーンフレークを、疲労が残った状態でモサモサ食べていたところ、俺はフリさんの不意な一言に匙を止めた。
「荒療治?」
「やっぱり今回の谷やん、いつもに増して性欲が強い気がするからさー」
「ああ…」
フリさんはいたって真面目につづける。
「この時期にスッキリさせておかないとさー、アルファと会うときとか大変になりそうだし」
「はあ…」
「まあでも、決めるのは谷やんだから、無理しなくてもいいよー」
言いながら、フリさんはコーヒーをちびりと飲んだ。
俺は考えようとしながらも、ひとまず目の前のコーンフレークをかき混ぜた。
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