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それから、ビニール手袋を付けた指で後ろをほぐされた挙げ句、何か太い物を突き刺さられた。おそらく張形だろう。
久々の感触に、俺は低い叫びを上げる。
「痛い?」
「だっ…だい…じょう…ぶです…」
これだけで軽く逝きそうになる。だけど、まだまだ足りないという欲もあった。後ろの物はゆっくりと抜き刺しをし始める。その度に俺は呼吸をあらげ、声を抑えるために枕で口を押さえた。抑えきれない刺激が、尻から頭へと一気に駆け抜ける。
「ふぁ…くあっ…」
息苦しくなり枕から外した口から声が漏れる。再び歯をくいしばり、枕に顔を埋める。
不意に、あの時のことを思い出す。初めてアイツと寝た時のこと。すぐに記憶を葬ろうとするが、消そうとすればするほど色々と思い出していく。しまいには、耳の中でアイツのあの時の声が響いた。
『ノリ、好きだよ』
「あああああっ!!」
それを消そうと必死に叫ぶ。だけど、尻の中でうごめく刺激と同時に、あの時のことがフラッシュバックする。
そこから逃れるべく、力を込めて手を握りしめる。爪が掌に食い込んでいき、鈍い痛みを感じる。
脳裏に浮かぶアイツの顔。もう朧気にしか覚えてないはずだが、消すことができなかった。
「ぐ…そっ……ち…く……ちく…しょ…おお…」
そんな思考を掻き分け、枕の隙間から吐息混じりの怨言が漏れる。
意識はさらに曖昧模糊となり、アイツのこと、あの人のこと、様々な記憶がない交ぜになる。
身体中の刺激と欲を抑えきれず、脳内のものが全て消え去りそうになる。意識がだんだん不確かになり、俺の声もたち消えそうにか細くなる。
駄目だ。もう無理だ。俺は諦めて身体の力を抜いた。
「…ゆう……ひ…」
なぜかはわからない。
逝く一瞬の中で、アイツの顔と、藤乃宮さんの顔が、重なって見えた。
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