あとがきSS ~厄病神課、フェスティバルへ出店する。の巻~

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 そして、綿に力を籠め続けること2週間。フェスティバル本番がやって来た。  見た目は土産物屋でよく見るマリモだ。但し、不幸に見舞われるマリモである。  商品名はゲザランバザランになった。  キャッチフレーズは “ 苦労は買ってでもしろを実現。これを持っていれば自然に巻き込まれ、立っているだけで苦労が出来る! そんなデンジャラスな人生の幕開けだ! 厄病神溺愛体質を、さぁ、あなたも体験しよう!!” などというふざけたものになった。  流石にこんなの売れないでしょと思いきや、あれよあれよという間に売れて行く。  お客さんの口からは、「ウチの部下、どうにも苦労したことのないお坊ちゃんだから」とか、「将来この子が壁にぶつかって立ち上がれないような子にならないように」とか、「ムカつく奴に送り付ける」など様々な理由から飛ぶように売れて行く。  ―― 人の心の闇は深い。  そうして開店から早3時間で売り切れ、残りの時間は自由時間となった。  歩杏は、色々な店を見ながら思う。  人って、心の中ではみんな厄病神と同じ精神を抱えて生きてるんじゃなかろうか、と。 Fin.
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