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「お父様、ベリオル・ファーミルとの婚約を破棄させて下さい!そして、新たに光属性持つ勇者、ダリン様との婚約を結びたいと思います!」
ファーミルと言うのは俺の家名だ。
「僕はこの力で国を守り、支え、姫様を愛し、幸せにすると誓います。」
はぁ?と思った俺は悪くない。
ダリン男爵令息を横に置き、王の目前でそう言い放つ女王殿下は舞台の主役にでもなったつもりのようだ。
そもそも、王様の生誕祭なのにこのような私事、ましてや王家と公爵家の婚約の破棄などを持ち込むのは不敬に値する。しかも王女殿下ならともかく、たかが男爵令息が王族と並び立ち、許しも得ずに話すなど・・・頭痛がするような話だ。
「ふむ、そなたが光属性の・・・噂には聞いておった。婚約破棄と新たな婚約を許そう。その力を国の為に振るうがよい。」
あっさり下された破棄の承諾に正直驚いた。この婚約は王家から舞い込んだものだ。それをそちらから反故にするなど、王家の信用にも関わる問題だ。それをこんな所でするなど、賢王と名高い御方だったが、残念だ。
まぁ多少傷は付いたが、身分的にも新しい婚約者を探せば良いだろう。
と、この時は思っていた。
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