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オレは悔しゅうて仕方なかった。
なんや!母ちゃんはホンマ凄いんや!
ご飯は美味しいし、今まで全然怒られたことあらへんし、勉強も教えてくれるし、めちゃくちゃ上品やし、大和撫子やねんぞ!見た目ゴリラやけど!
でも、母ちゃんみたいなエスパーになれたら、電位美人に馬鹿にされんようになるんやろか。
オレも、母ちゃんも。
オレは母ちゃんに聞いてみた。
「なあ、どうやったら母ちゃんみたいなエスパーになれるん?」
おやつに母ちゃんの手作りのアイシングクッキーをかじった。やっぱ美味いわ。
「アンタがええ子にしとったらなれるで」
母ちゃんはいつも通りウホホッと笑った。
オレンジを一瞬で握りつぶしてコップに注いで、氷の塊の脳天から拳を当てて粉々に砕く。はいどうぞ、って冷たいオレンジジュースを渡してくれた。
すごいなぁ。
「やっぱり、オレがホンマの子じゃないからエスパーになれへんのやろか」
ぐしゃり。
母ちゃんの手元を見ると、アルミトレーの取っ手が握りつぶされとった。
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