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創造主
重厚な扉を開けると、まるで予期していたようにひとりの男が玉座のような椅子に座っていた。二人は、不安そうな顔でその男に近づいていきました。その様子を一匹の小鳥が外から見ていました。部屋の中は窓のようなものはなく何本かの白い柱が立っていただけでした。そして、扉から上座にある椅子にかけて赤い絨毯がひかれていました。部屋には、他に物はなく金細工の装飾が施された玉座のような椅子だけでした。
「お帰り、地上の様子はどうだった。まあ、予想はついてるが・・・・。」
椅子に座っていた男が、二人にそう声をかけました。
「はい、ただいまもどりました。地上の我々の管轄区域の国々は壊滅致しました。生存者は、おりません。」
そう、控えていた男が言うと、今度は続けて一緒にいた少年が話し始めました。
「いつもと変わりなく、人間たちが勝手にいがみあって・・・・。各国がなくなり、地上のほとんどが荒野とかしました。」
少年は、厳しい顔つきでそう話しました。
「ふむ、そうか。まあ、予想通りだな。つまらんものだな。他に何か報告はあるか?」
玉座の男は、つまらなそうにそう言いました。
「ありません。」
少年は、それだけ伝えると一歩下がりました。
「なければ、出ていけ。下がってよい。ご苦労だった。」
そう言って、玉座の男は手を振って二人を追い払いました。
「「はい、失礼します。」」
二人も、それだけ言うとすぐに部屋から出て行きました。
残されたのは、今なお玉座に座っている男だけでした。
「はぁ〜、人間とはかくも愚かなものだな。」
男は、玉座のような椅子から立ち上がると部屋を出ていきました。その様子を青みがかった緑色の小鳥が見ていました。小鳥は、男がいなくなるとすぐに飛び去っていきました。
「ピピッ。」
小鳥は、男たちの様子を見て、玉座に座っていた男が創造主のようだと思いました。
そうだとしたら、今彼はどんな気持ちだろうか?
小鳥は、なぜだかそんなことを考えていました。
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