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ねえ、崎坂くん、キミはもしかして……麻衣子と仲良くする僕にヤキモチを妬いてくれてるの?
僕が立花さんとキミの関係にモヤモヤするみたいに、どうしようもなくドロドロとした気持ちに支配されていたり、する?
僕はそれを、どうしても確認したくなってしまった。
「前に崎坂くんは……もう、あの人が全てじゃないって……。僕に――僕に、興味があるって言ってくれた。でもそれは……別に僕のことが好きってわけじゃないんだよね?」
「……」
「だったら……だったら正直、確かに僕は君が好きだけど……だからって、そこまで言われる筋合いは、ない……と思うんだけど」
わざと揺さぶりをかけるみたいに挑発的なことを言って、崎坂くんの反応を見る。
さっきから崎坂くんがやたらと苛立っている原因……。
それをはっきりさせるのは正直怖いけれど……。そんなことあるわけねぇだろ、と言われてしまったら立ち直れない気がするけれど……。
それでも、今を逃したら聞けない気がするんだ。
「だって……まるで妬いてくれてるみたいに見える……」
僕は今日崎坂くんに会ってからずっと、胸の奥に感じてきた違和感の正体を崎坂くんに突きつけた。
違うって言われたら……どうしよう。
不意に不安になって、僕は逃げ道を作るみたいに「そ、そう見えるだけかもしれないけど……」と付け加えてから、でも……やっぱりそうとしか思えないんだよとも思ってしまって――。無意識にはにかんでしまう。
そんな僕を見た崎坂くんが赤面するとか……誰が想像できただろう?
そんな表情を見せられたら、自惚れたっていいよね?と思うじゃないか。
僕は崎坂くんの手首をギュッと握り直すと、彼の目をじっと見つめて勝負に出た。
「ねぇ、崎坂くん。キミのほうこそ、僕のこと、好きだよね?」
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