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ち、近いっ。
崎坂くんは僕に恥ずかしい思いをすればいいって言って。
だからって僕が恥ずかしがってもやめてくれないって言って。
まるで当然の流れのように唇を重ねてきた。
僕はなんの前触れもなく眼鏡を奪われたことに少なからず動揺していて――。
「んっ」
まっ、待って! まだ僕、心の準備が……っ。
なんて思うのは、女の子の反応だろうか。
男同士ならエッチしたところで子供ができるわけじゃないし、そんなに構える必要も、狼狽る必要もないのかも知れない。
ましてや、僕は崎坂くんとこういうことをするの、初めてでもないわけで――。
そう思えば、こんなに緊張することも、躊躇することもないはずなのに。
何でこんなドキドキするんだろう。
「あ、……さ、崎坂くっ、待っ」
唇が離れる合間を見計らって、待って欲しいと……。この行為に対してもう少し開き直れる時間が欲しいと……。そう懇願したんだけれど。
さっき宣言した通り、崎坂くんは僕にそんな隙を与える気なんて微塵もないみたい。
決して嫌なわけではないのに、性急にことが運びすぎるのが不安で堪らなくて、僕は一生懸命崎坂くんの胸元に手をついて彼を押し戻そうとした。
「やめないって言ったでしょ」
なのに崎坂くんは当然のように僕の手を絡め取ると、ひとまとめに束ねてからそのままベッドに押し倒すんだ。
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