406人が本棚に入れています
本棚に追加
/337ページ
「あっ、……やっ」
そうしてなんの躊躇いもなく、僕のTシャツの裾から手を入れてきて。
緊張で少し汗ばんだ肌の感触を確かめるように、崎坂くんの手が、スススス……ッと這い上がってくるのが、堪らなく恥ずかしかった。
「そんなに恥ずかしいですか?」
崎坂くんの手が僕のTシャツをまくり上げてきたのを察知して、慌てて身じろぐように身体をズラしたら、揶揄うようにそう言われて目を眇められた。
「じっ、自分で……」
崎坂くんの言う通り僕は男だ。
同性の前で上半身をさらけ出すくらい、本来なら何てことないはずなんだ。
なのに崎坂くんに脱がされると思うと、途端羞恥心が頭をもたげてきてしまう。
だったら――。
だったら自分で脱いだほうがマシな気がしたんだ。
崎坂くんを押しとどめて、緩く束ねられた束縛から抜け出して、自分で脱ごうと身体を起こしたら、
「ダメ」
まるで僕の目論見なんてお見通しだと言うように、振り解いたばかりの手で、僕の動きを止めにくる。
そのまま片腕でギュッと抱きしめられて、耳元に唇を寄せられる。
「俺がさっき言ったこと……覚えてないんですか?」
そうしておいて、低めた声で崎坂くんが囁くんだ。
僕はその声にゾクリと身体を震わせる。
「あ、あの、でも……」
それでも身体を強張らせたまま一生懸命言い募ろうとする僕に
「アンタのそれ…煽ってんの?」
言われて、なんの前置きもなく耳孔へ舌を差し入れられた。
最初のコメントを投稿しよう!