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僕を見下ろす崎坂くんの視線がゾクッとするほど婉然としていて、僕は戸惑いに視線を揺らせるしかできなくて。
「そ、そういう……こと」
言わないで欲しい。
そう続けたいのに、それを言うのすら恥ずかしくて口ごもった僕に、崎坂くんがフッと小さく笑った気がした。
思わず彼の方を見上げたら、崎坂くんが自らのTシャツに手をかけたところで――。
僕はその潔い脱ぎっぷりに、思わず見入ってしまう。
そんなに凝視すべきじゃないと頭では分かっているのに、全然視線を外せなくて。
そればかりか息苦しくなるぐらいにドキドキしてしまう。
ど、同性が服を脱ぐところを見て動揺してしまうとか……僕、おかしいんじゃないのっ。
思うけれど、これはもう理屈じゃないんだ。
崎坂くんが服を脱ぐときに交差された両腕に垣間見えた筋張った筋肉も、脱いで露わになった肉付きが薄い割に鍛えられた印象の胸筋も、角張って見える肩のラインも、女の子の円やかなそれとは違って、紛うことなく男性のそれで。
ぱっと見は僕とそんなに体型、変わって見えないのに……。
着痩せするタイプなのかな。
実際に目の当たりにした崎坂くんの身体は、僕の生っ白い脆弱なラインとは全然違っていて。
細いのにちゃんと男らしくて驚かされたというか。
その違いに気付かされた途端、ズキン、と下腹部が疼いてドキッとした。
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