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「……くっ!! やっぱり足りねぇか!!」
「うぅ!! どうすれば通じるのぉぉ!!」
自棄になるのも無理はない。
こちらは11人で挑んでいるというのに、怒樹に与えられたのは掠り傷程度だ。
しかもその掠り傷でさえ、シャドーの再生能力でほとんど完治されてしまう。
相変わらず規格外の化け物だ。
「さてェ、次はこっちの番かァ?」
自棄になりかけてるギートと詩音に向けて、次は怒樹が大きな手を翳す。
チカチカと光が収縮し始めた光景を視界に入れて、俺は矢を射るように二人に向かって危機を叫んだ。
「詩音、 ギート!!避けろぉぉ!!」
「やべっ!?」
「あわわっ!?」
俺の声に反応した二人が左右に飛び退くと同時。
「おあああああっ!?」
「ひゃああああっ!?」
一直線に二人が立っていた場所に風の凶刃が吹き抜けた。
まさに間一髪。
僅かにコートが切り刻まれるギリギリの回避だったが、二人の身は無事のようだ。
一先ずホッと胸を撫で下ろすが、まだ根本的な問題は解決していない。
―――このままじゃダメだ。
―――司さんを助けにいくためにも、まずは怒樹を止めないと……!!
「クロ!!」
『分かってる!! 足を引っ張るなよ弱虫!!』
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