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幟季さんの瞳がこの場に揃ったリリーヴのメンバー一人一人に向けられる。 誰一人命を落とすことなく、こうして顔を合わせられるのは奇跡に近い。 それを噛みしめるように、幟季さんの瞳は少し涙ぐんでいるようにも見えた。 『さてさて! せっかくのパーティーなのに湿っぽい雰囲気が続くのはよくないよね!! 今日もおかんにスペシャルな料理を用意してもらったし、冷める前に始めようか!!』 幟季さんが飲み物が注がれたグラスを持つと、それに合わせて皆もグラスを手にした。 さぁ、いよいよ始まる。 リリーヴのメンバーが出揃い、壮絶な戦いの末掴み取った大勝利を分かち合う盛大なパーティーが―― 『さぁ今日は祝勝会だ!! 皆、めいいっぱい楽しんでね!! 我々リリーヴの大勝利を祝してぇぇぇ……カンパーイッッ!!』 「「「カンパーイッッ!!」」」 高らかに乾杯の音頭を取る幟季さんの声と皆の声が重なり、一気に食堂が賑やかになった。 各々が笑顔で会話を始めて互いの功績を賞賛し合い、水無月さんが作ったおいしい料理を皿に盛りつけ、口いっぱいに頬張っている。 何も変わらない―― 賑やかで楽しいリリーヴの日常が確かにそこにあった。
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