87人が本棚に入れています
本棚に追加
/650ページ
幟季さんの瞳がこの場に揃ったリリーヴのメンバー一人一人に向けられる。
誰一人命を落とすことなく、こうして顔を合わせられるのは奇跡に近い。
それを噛みしめるように、幟季さんの瞳は少し涙ぐんでいるようにも見えた。
『さてさて! せっかくのパーティーなのに湿っぽい雰囲気が続くのはよくないよね!! 今日もおかんにスペシャルな料理を用意してもらったし、冷める前に始めようか!!』
幟季さんが飲み物が注がれたグラスを持つと、それに合わせて皆もグラスを手にした。
さぁ、いよいよ始まる。
リリーヴのメンバーが出揃い、壮絶な戦いの末掴み取った大勝利を分かち合う盛大なパーティーが――
『さぁ今日は祝勝会だ!! 皆、めいいっぱい楽しんでね!! 我々リリーヴの大勝利を祝してぇぇぇ……カンパーイッッ!!』
「「「カンパーイッッ!!」」」
高らかに乾杯の音頭を取る幟季さんの声と皆の声が重なり、一気に食堂が賑やかになった。
各々が笑顔で会話を始めて互いの功績を賞賛し合い、水無月さんが作ったおいしい料理を皿に盛りつけ、口いっぱいに頬張っている。
何も変わらない――
賑やかで楽しいリリーヴの日常が確かにそこにあった。
最初のコメントを投稿しよう!