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そのままテーブルへと運んで行き、クロが気に入りそうな料理を選んでいる。 “俺の光”と表現する程、大好きな詩音の側に居るからか、真っ黒なはずのシャドーの身体が何だか赤みを帯びているように見えた。 小さなスライムの見た目のせいかもしれないが、この光景は実に微笑ましい。 ――ふふっ、よかったな、クロ ――るっせぇよ弱虫ッッ!!!! 心の中で呼び掛ければ、ぶっきらぼうなクロの声が脳内に響いた。 クロと共存を始めてから、彼が現世で触れてきたモノはまだまだ少ない。 食べ物ではチョコレートが好きだったはずだが、いろんなものに触れてもっと好きなモノが増えるといいと思う。 “現世の綺麗なモノをたくさん見せて、触れさせてやる”。 それが共存を選んだ、あいつと俺の約束だから。 そこへ、 「相変わらずリリーヴの連中は賑やかだな」 新たな人物が俺の元へ近づいてきた。 聞き馴染んだ声がした方へ視線を向ければ―― 「あっ! 祥悟じゃないか!」 患者衣を身に纏った祥悟がそこに居た。 元気そうな親友の姿に安堵するものの、同時に身に纏った“患者衣”が気にかかる。 きっとまだ“例の治療”が完全に終わっていないのだろう。 祥悟は以前、怒樹の風の刃により瀕死の重体を負い、緊急処置として羽木さんの血を口にした。 羽木さんの血は超再生能力を相手に分け与えることが出来るが、その代償として強い依存を引き起こす禁断症状を負ってしまう。
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