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最終決戦でも多量の血を口にしながら戦っていたため、症状はさらに重みを増し、宮先生監視の元、治療のためベッドに縛り付けられる日々を送っていたのだが――
「もう身体は大丈夫なのか?」
「あぁ。まだ完全とはいかないが今は自制できる程度にまで落ち着いたよ。アレが禁止扱いになった理由もこの身をもって知った。あの血を飲むのは二度とごめんだな……」
過去には司さんも同じように禁断症状に耐える治療を行い、その苦痛を聞かされたことがあるが、きっと祥悟も相当苦労したのだろう。
虚空を見つめる死んだような目を見れば言葉にせずとも伝わってくる。
「そうか、治療が順調そうでよかったよ。これで一緒にパーティーを楽しめるな!」
「あぁ、それなんだが……本当に俺がここに居て良いのか? ……元イーヴァの俺は場違いだろ? 元々参加するつもりはなかったが、宮先生に無理矢理連れてこられて……」
要するにこの場にいるのが気まずいのだろう。
宮先生はきっと祥悟にも参加する資格があると思ってここに連れてきたのだろうが、どうやら本人はそう思っていないらしい。
キョロキョロと周囲に目を向け、居心地が悪そうにぎゅっと口を引き結んでいる。
確かに祥悟は黒騎士としてリリーヴのメンバーと死闘を繰り広げてきたが、それはもう終わった話だ。
最終決戦で祥悟が命懸けで協力してくれたことは皆知っているし、場違いだなんてことはない。
充分にこの場に参加する資格はある。
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