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「大丈夫! お前の活躍は皆知ってるんだから! お前はもうイーヴァの黒騎士じゃないだろ!」
「し、しかしだな琉斗……」
やはり長い間黒騎士として敵対していた過去が祥悟を離さないのだろう。
最終決戦の活躍と、黒騎士の過去を天秤にかけてしまえば、数時間と一年以上の差だ。
祥悟にとっては黒騎士の罪のほうが重たくなってしまう――
気にするなと俺の言葉を聞いても煮え切らない様子で納得せず、戸惑ったままだ。
さて、いつまでも罪にがんじがらめの親友の枷をどう外そうか……。
そう思考を巡らせていた矢先――
「悩む必要なんてないよ! 祥悟くんも一緒に楽しもう!」
「あぁ! 祥悟には俺達も随分助けられたからな! もう昔のことはチャラにしようぜ!」
「そうそう! 気にすることないって! 改めてよろしくね祥悟!」
俺と祥悟の会話を横から聞いていた詩音、ギート、稟香も援護するように励ます言葉をかけてくれた。
肯定的な言葉の数々が重なり、俯いていた祥悟の顔が上がる。
「そ、その言葉は有難いが……まだ俺にその資格は……」
『あァ、なんだまだ過去を引きずってんのか? じゃぁやっぱりお前は“黒騎士”って呼んだ方が――』
「だから俺は“祥悟”だっ!! “黒騎士はもう捨てた”んだよっ!!」
意地悪なクロの鎌掛け。
クロの目論見に気付かないまま、祥悟は衝動的に反論し、『……ぁっ』と小さく声を漏らして頬を赤く染める。
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