12/38
前へ
/650ページ
次へ
それにしてもどうして支部長の二人が息を荒くしてわざわざ祥悟の元に駆け付けたのだろう? リリーヴに入る決断をした祥悟をお祝いするためだろうか? その疑問を言葉にせずとも、答えはすぐに両支部長の口から明らかになった。 「Hey! 黒騎士、お前の所属はどこだ!?」 「幟季殿から聞いているのか!?」 「いや、まだそこまでの話は――」 「ならば私の北支部に来るといい!!」 「ならば拙の南支部に来るといい!!」 どうやらリリーヴに入る決断をした祥悟を自分の支部に迎えるために我先に慌てて駆け付けたようだ。 祥悟がやたら二人に気に入られているように見えるのは、きっと気のせいではないのだろう。 彼が二人に好かれている経緯は分からないが、先の決戦で両支部長と共に怒樹を討ったという話があるし、恐らくそれがきっかけになったのかもしれない。 両支部長は祥悟に好意的に振舞うが、対する祥悟は迷惑そうだ。 「ちょ、ちょっと待ってくれ。できれば俺は琉斗達と同じ本部に」 「黒騎士、お前の相応しい場所は私の北支部だ!! お前に投資は惜しまない!! 私の元にくれば最強の戦闘員にしてやろう!!」 「だから黒騎士じゃなくて祥」 「いいや!! 黒騎士が相応しいのは拙の南支部だ!! リリーヴ最強の剣士と謳われる拙が剣技を仕込んでやろう!! それに名前に色の名がついている!! 南支部のコードネームにもふさわしい!!」 「待て!? それじゃぁ一生“黒騎士”を背負うことになるだろ!?」
/650ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加