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若い頃から、数々の武勇伝を持っていた親父が死んでしまった。
人命救助で何度も表彰された親父だった。
地元の反社会勢力とやりあって、国家公務員の厄介になることもあったけど。
援交ばかりしてた高校生や札付きの悪ガキ達を更生させたり、
居なくなった近所の犬猫の発見率100%だったり、
大きな震災があるとボランティアに行ったり、
音信不通だと想うと、海外からmailが届いたりと、自由で大きな親父だった。
月とロックを愛した親父。
旅人ではなく異邦人だと嘯いていた親父。
殺しても死なないって、親父を知る誰もが想っていた。
大学生になったばかりの俺もそう想っていた。
膵臓癌だった。
自覚症状が現れた時には、もう手遅れだった。
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