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喪主は母が務めた。
格好つけて、父のことを親父なんて言ったけど、本人の前で呼んだことはなかった。こえーから。
だから、母のことも、お袋なんて呼んだことはない。
俺は、父に面と向かって『親父』って呼ぶ機会を永遠に失ったんだ。
数々の逸話が残される親父の、葬式。
地元の名士並みに、参列者で溢れかえっている。
それは想定内だ。
対立する色んな組織もこぞってやって来るから、国家公務員も派遣されていた。
勿論、それも想定内だ。
でも、一体どうなってんだよ!
想定外の事態が発生。
さっきから、ひっきりなしなんだけど。
俺と大して変わらない年齢の女の子達が葬式にやって来る。
外人っぽい娘も居るんだけど。
皆、手紙を持参している、親父の直筆だという手紙を。
やんちゃな親父……まさか、と言うか多分、いや絶対……隠し子だよな。
どんだけロッケンローなんだよ!
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