10年後から

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ねえ、シロちゃん。 あれから10年以上経っちゃったよ。 私はきちんとお手紙の返事を書いたっけ、それとも口で言ったのだっけ。 それすら思い出せないの。 『めーさんへ もっと友達になれたらいいな』 嬉しくて嬉しくて、何度も読み返した。 流行りに乗った丸くて、でもしっかり大きさの揃った細い文字。 まず声を忘れてしまった。 あれだけ好きだった目を思い出しにくくなって、綺麗な黒髪のサラサラした動きをどんなだったか言えなくなって。 だけれど、この綺麗な字だけはずっと残っていてくれた。
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