雨とその日と死神と

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 六日経ち、土曜日になると窓の外ばかり眺めていた。 私の机は窓に面しているから、机の上に教科書とノートと参考書を広げて、勉強の息抜きに窓の外を眺めていても問題ではない。 問題ではないのだが、窓の外ばかり眺めていて勉強が全く進んでいないのは駄目だろう。  でも、どうしても視線が窓の外へ行ってしまう。 人が通るたびに通った人の姿を確認しているなんて、それはまるで誰かを探しているようだ。  そう、私は誰も探していないはずだから。 強いて言えば見つからない人物がいないように祈りながら窓の外を見ているというだけなのだ。  だけなのに、やはり見つからないと寂しく感じてしまう理由なんて考えたくなかった。 今は、とても幸せ。 出会うはずだったあいつも私もこの先に起こるはずだったことのせいで死なずに済むのだから。 だから、私もあいつも幸せなのだ。 たとえあと数日で、私が死ぬとしても。
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