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翔子がそう言った途端、赤い壁が天井がドクン、ドクンと脈を打つ。
おい、店員達はどこ行った?
テーブルもカウンターも消え失せ、洒落たジャズの代わりに大きな鼓動と潮騒の様な音が響く……!
まるで生き物の様に蠢く床に俺は倒れた。
そこにはびっしりと、巨大な舌……
いや、触手が生えていた。
そうだ、これは触手だ。
不快な粘液にまみれた触手……
『翔子!逃げろ……っ』
とっさに叫んだ。
声になったのかどうかは分からない。
天井も床も無くなり、いい雰囲気だったバーは俺の体を押し潰しながらほんの数十センチの隙間になる。
触手が体を柔らかく切り裂いて侵入して来るのを感じながら確かに聞いた。
翔子の声だ。
ご ち そ う さ ま
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