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『あはは、もしもーし?起きてよ~』 ……おや?ここは…… 『急に寝ちゃうんだから。ちょっと飲み過ぎだよ!はいお水』 『お、おう』 そうだ、今日は高校の同窓会で。 『でもさー、あの井上君がまさかこんなに……ねえ!』 『どういう意味だよ!?』 『悪い意味じゃないよ。 でも私はおばさんになったよね!?怒らないから正直に言って?』 翔子と二次会を抜け出して。 二人でジャズなんか流れてる静かなバーで飲み直してる所だった。 壁も天井もシックな赤で、内装もそれに合わせてまとまっているこの店の雰囲気が今の俺の気分にちょうどいい。 『いや……綺麗だよ。本当に』 真剣だった。じゃないとこんな場所なんかに来ないさ。 翔子。あの頃から気になってた。きっとお互いに。 10年経って可愛らしかった顔は垢抜けて。 酔って少しはだけたドレスの胸元はあまりにも眩しくて。 『え、そんなガチで言われたら……』 酔った勢いだ。俺は彼女の左手をそっと握る。指輪はしていない。外してるだけかもしれないけど。 『さっき寝てた奴が言う事じゃないけどさ。 ……今夜は寝かせないよ』 まさに酔った勢い! だけど翔子も笑いながら、手を握り返してくる。 『さっきの料理、美味しかったよね。 それでも満足しないから私も食べたいんだ……ふふっ』
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