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プロローグ
『ねぇ。──あんたもしかして、矢井戸桂太?』
高校入学とともに果たした、偶然すぎる再会。
『ねぇ、あんた、何で急に──…。──……。───』
俺を見つけるなり、茅野柚葉はまるで責め咎めるように“あること”を告げて、俺を見据えてきた。
まるで問い詰めるかのように──。
……いやいや、待って。これはタイミングが悪すぎる。
運命の神様が俺らを引き合わせてくれた事には感謝するけど、何も今このタイミングじゃなくてもよくね?って思う。
呆気に取られて何も答えられないでいる俺に、柚葉は幻滅したようにため息をついては──。
「もういい」
そう一言告げて、立ち去った。
……ほら、やっぱそうなるよね。
だって俺、今──。
「ねぇ、ケータくん、今の子だぁれ?」
「ねー、めっちゃ可愛かった! ちょっと怒ってた風?」
「まさか彼女……とかじゃないよね?」
複数の女の子に、囲まれてんだもん。
「えー、そう見える?」
なのに、焦るでもなく弁解するでもなく、女の子たちに振り向いてデヘッと笑ってしまう俺。
普段ならこんな状況は願ってもあり得ない事だから、有頂天になっていたのは確かだし、冷やかされて調子に乗ったというのもある。
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