8人が本棚に入れています
本棚に追加
高校デビューとは恐ろしいものだ。
ちょっとピアス付けて髪染めて、明るい声で話し掛けようものなら、物珍しさから食いついてくる。
俺も調子に乗って、女の子の集団に声を掛けたのが間違いだったのか。
彼女的には、俺が女子を侍らせているような構図に見えなくもない。
そりゃ、引く。
何も語らせず、言い訳もさせず、立ち去られる。
そんな最悪な滑り出し。
誤解を与えたマイナスからのスタートに、初めは戸惑いもしたし気まずくもあったけど。
けれども俺は、めげなかった。
格闘天使ちゃん──そう俺が勝手に呼んでいる、茅野柚葉。
俺の、初恋の女の子。
この運命的すぎる再会に、無性に胸がときめいてしまったのは確かなのだから。
──あれから一年と六ヶ月の月日が流れ、俺たちは高校二年生になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!