プロローグ

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 高校デビューとは恐ろしいものだ。  ちょっとピアス付けて髪染めて、明るい声で話し掛けようものなら、物珍しさから食いついてくる。  俺も調子に乗って、女の子の集団に声を掛けたのが間違いだったのか。  彼女的には、俺が女子を侍らせているような構図に見えなくもない。  そりゃ、引く。  何も語らせず、言い訳もさせず、立ち去られる。  そんな最悪な滑り出し。  誤解を与えたマイナスからのスタートに、初めは戸惑いもしたし気まずくもあったけど。  けれども俺は、めげなかった。  格闘天使ちゃん──そう俺が勝手に呼んでいる、茅野柚葉。  俺の、初恋の女の子。  この運命的すぎる再会に、無性に胸がときめいてしまったのは確かなのだから。  ──あれから一年と六ヶ月の月日が流れ、俺たちは高校二年生になっていた。
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