第2話 格闘天使ちゃんの恋

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「───……!?」  驚愕の目で俺を見上げる柚葉。──まさか、手首を掴まれるなんて思ってなかっただろう。 「…──何? 驚いた? 俺だってやられっぱなしじゃないよ。同じ道場で()ってきた仲じゃん」 「……な──」 「やっと半径0メートルになれた」 「……っ」  不敵に笑うと、俺は眉をしかめる柚葉のリアクションなど物ともせず、その手をグイッと引いて──。 「ちょっと……、何すんの……!」  そのまま、歩きだした。 「ちょっとも何も、ついて来てほしいトコあんだよね」 「は…!?」  呆気にとられる柚葉をよそに、手を繋いでいるかのように手首を引っ張って歩いていく。 「悪モンの矜持ってヤツですよ」 「……は!?」 「お灸を据えてやろうと思って」 「…っ、は…!? 何それ──」  口振りは呑気だけど、俺は少しも笑っていなかった。  そんなただならぬ気配を察したのか、始めは「放して」だの「意味わかんない」だの喚いていた柚葉も──。  やがて観念して、手を引かなくても黙ってついてくるようになった。
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