第四章 もうひとりの罪人

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 だとしても、慎太郎は二人の距離感がとてもうらやましく、少なからず恋心を抱いた武岡に関してはどうしても幸せになってもらいたいという願いが湧き上がっていた。 (なんだろう…こういうの、ただただもったいないというか、じれったいというか。でもオレが邪魔してもダメなんだろうな。いや、でも課長の気持ちを確かめるだけなら二人の友情は壊れたりしないんじゃないか?)  一瞬にしてそんな考えにたどり着いた慎太郎は、一人である決心をした。 「部長…。あの…さっきの話なんだけど…」  慎太郎はそっと小声である提案を武岡に持ちかけた。“え?”という顔をして武岡は驚く。 「オレ……笹本課長に彼女が本当にいるかどうか、調べてみます」  その日から慎太郎は勝手に身辺調査探偵のような行動に出るのだった。
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