《起》春に咲く花。

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「瑠威。」 背後で、無機質な声がオレを呼んだ。 肩越しに振り向くと、太陽を背にした細い人影が、不意に視界を遮る。 逆光の中で、顔は良く解らないが… この声の主を、オレは昔から良く知っていた。 「蒼摩…」 「そろそろ切り上げたら? もう昼だよ。」 「昼?? もう?」 そんなに熱中していたなんて… 慌てて立ち上がった次の瞬間、グラリと身体が大きく後ろに傾いだ。激しい目眩に襲われて、刹那、意識が遠退く。 「危ない!」 倒れる寸でのところで蒼摩がオレの腕を掴み、辛うじて上体のバランスを保った。足元には、花壇用のレンガが山積みになっている。あのまま倒れていたら、体を打ち付けて怪我をしていたかも知れない…
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